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第15話 秘めたる力ー少女たちの成長と新たな戦術

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-11-30 14:42:34

 すぐに興味を示し、理解しようと真剣な眼差しを向けてくる。

「そうだ。シールドを展開して、空中で足場を作れば、立体的な攻撃ができる。」

 初級魔法のシールドは、一般的には防御のために使われる。だが、持続時間が短く、維持の必要がないため、瞬間的に展開して足場にする戦闘術には適していた。この魔法は軽視されがちだが、使い方次第で武器になる――俺はずっとそう思っていた。

「よし、試してみろ。」

 ミレディとシャルが慎重に魔法を展開する。ふわりと薄い光の膜が宙に現れる。

「……わっ、すごぉい!」

「やりました……!」

 ミレディは目を輝かせながら、恐る恐るシールドの上に足を置く。シャルも丁寧に確認しながら、一歩踏み込む。

「じゃあ次は──これを使って加速してみろ。」

 俺がそう言うと、二人は集中し、魔法の足場を次々に生成しながら軽快に跳び回り始めた。

 ……すごい。

 軽く指導しただけなのに、二人の吸収速度が驚異的だった。小柄で力こそないが、運動神経と身軽さを活かした動きは見事で、次々と高所へと跳躍していく。

 まるで空を駆けるようだ。

 そして――攻撃の連携が完璧に噛み合っている。

「シャルちゃん、行くよぉ!」

「はい!」

 ミレディがシールドを利用して上空へ跳び、そこから一気に急降下攻撃。その隙を逃さず、シャルが別の角度から同時に斬撃を重ねる。

 これ……予想以上に強いぞ?

 本来なら、軽視される初級魔法のシールド。だが、二人の身体能力を活かすことで──戦闘スタイルに完全に組み込まれた。攻撃の自由度が跳ね上がり、全方向から敵を制圧できる。

 ……もはや、衛兵と互角? いや、それ以上じゃないのか?

 俺は静かに武器を構え直しながら、二人の予想外の成長に驚きを隠せなかった。

 こうして、シールドを活用した独自の戦闘スタイルが確立されていった。二人の強みを最大限に活かした、この技術――今後の戦いの鍵になりそうだな。

 川への誘いと恋の作戦会議

 部屋でくつろいでいると、シャルは少しモジモジしながら、遠慮がちに俺へ近づいてきた。

「あ、あのですね。わ、わたし、川へ行ったことが無いのです……。よかったらでいいのですが、つれて行ってくれませんかぁ……?」

(……シャル、その可愛い仕草で言われると断れないだろ!?)

 いや、シャルからのお願いは滅多にないし、もともと断るつもりもないけどさ。それに、戦闘訓練ばかりだったし、息抜きにもなる。獣が現れれば戦闘訓練も兼ねられるし――昼食の材料にもなるしな。

「よし、行くか。」

 こうして、急遽川へ行くことが決まった。

 森の中を歩きながら、ミレディとシャルは楽しそうに会話を始めた。最初頃の話の話題は、武器の話だったが――いつの間にか、俺の話になっていた。

「ユウくんって、かっこいいよねぇ!」

「……は、はい。かっこいいです。ミレディさんも……そう、思うのですか?」

「え? もしかしてぇ……シャルちゃんも!?」

 シャルは恥ずかしそうに視線を落とし、頬を赤らめながらそっと答えた。

「うぅぅ……はい。はじめて……なんです。人を好きになるのが。ユウさんと一緒にいると……ドキドキして、幸せな気持ちになるんです。」

 その言葉を聞いたミレディの瞳が驚きに見開かれる。

「えぇぇ!? じゃあさぁ――二人で、アタック作戦しちゃう!?」

「い、いいですね!」

 その瞬間、二人はルンルンと軽快に歩きながら、可愛い仕草で話を続ける。まるで秘密の計画を立てているかのような、嬉しそうな雰囲気。

(……いやいや、待て。後ろを歩く俺には――会話が丸聞こえなんですけど!? えっと、悪い気はしないけど……恥ずかしいというか、照れるからやめてくれ!!)

 突発戦闘と訓練の成果

 楽しい雰囲気のまま川へ向かっていたが──前方で、ガサガサと音がした。俺は足を止め、気配を探る。

 ……小さな獣ではなさそうだ。

「よし。戦闘訓練開始だぞ! 戦闘用意。」

 その言葉に、ミレディは目をぱちくりさせる。

「え? はわわわぁ!」

 焦った様子で、思わず慌てるミレディ。そりゃあ、前回ミレディと来た時は、俺がすべて討伐したからな。あの頃は、ミレディはか弱く、しかも弱っていた頃だった。

 だが――今回は違う。

 シャルはすぐに状況を察し、戦闘モードに入る。

「はい。戦闘準備完了です。……み、ミレディさん……しっかりしてください。いきますよ?」

 年下のシャルが、少し苦笑しながらミレディに声をかける。

「むぅぅ、だってぇ……前回はぁ、ユウくんがぁ~。うん。戦闘準備完了ぅ……。いっくよー!」

 そして──二人が動いた。

 目標の獣を黙視し、息を合わせて同時に跳躍。シールドを足場にして、空中で散開しながら獣をかく乱する。獣の視線はミレディに釘付けになった。そのミレディが勢いよく突撃――獣が反撃を仕掛けようとする。

 だが、その瞬間。

 後方からシャルが鋭く攻撃を仕掛ける。同時に、ミレディがシールドを使い、空中へ退避。

 完璧なフェイントと連携。一瞬のスキを突く、その鮮やかさに俺は思わず息をのむ。

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